櫃取湿原

早池峰山の北方に広がる標高1000メートル前後の峰々に囲まれた平坦地に広がる湿原です。
全域が国有林であり、自然環境保全地域にも指定されていますので、動植物などの採取が全面的に禁止されています。

櫃取湿原


 櫃取湿原は、早池峰山の北側に広がる青松葉山・安部館山・黒森山などに囲まれた標高1000メートル前後の平坦地に広がる湿原で、周り
 を取り囲むように広葉樹帯が広がっていまして、北上山地の数少ない湿原地の中で最も美しい場所とも言われています。

 全域がすべて国有林で県の自然環境保全地域にも指定されていますので、この地域内での動植物の採取が厳しく禁止されています。

 4月下旬から8月下旬頃の時期であれば多数の花が咲いていまして、特に5月頃の水芭蕉と7月頃の白山石楠花などが、とても綺麗です。

 勿論、花の他にも春の新緑から秋の紅葉までいつ訪れても素晴らしい風景が目の前一杯に広がっています。

 野生動物も豊富でして、一日中のんびりと湿原内を散策していると月輪熊や狸に貂などと遭遇する事も多く、動植物共に魅力溢れる場所と
 なっています。

 但し、まるで観光地でも訪れるような服装の方を見かける事もあるのですが、何かあったときのことを考えると、せめて熊除けの鈴だけでも
 持ってきてもらいたいなと思います。


−新緑の鈍めき沢−


−水芭蕉の群生−


−放牧されている牛−


−早春の鈍めき沢−


−早春の岳樺−


−水芭蕉−


−水芭蕉−


−水芭蕉−

権現滝


 盛岡や宮古などの南方から櫃取湿原に向かうと早池峰山の北側にある大森山の近くを通るのですが、この大森山を中心に林道が一周する
 ように整備されていまして、この林道からも早池峰山への登山道があるのですが、南側にある登山道と比べると知名度が低いようです。

 この林道沿いを流れる鞍沢には、「権現滝」という滝があり、あまり知られていないようですが、実際に行ってみると期待以上の大きさに驚か
 される事と思います。

 更に林道の奥へと進むと、ツボケ沢・闇隅沢・アイオン沢・握沢などの早池峰山を源流とする支流が集まった御山川沿いの林道になります。

 この御山川沿いで、私が見つけた面白い風景が右下の写真の場所でして、よく見てもらえれば不思議な風景だと気がつくと思いますが、直径
 が15メートル以上もあるかと思われる巨岩の上に巨木がバランス良く乗っているんですよね。

 ちょうど倒れた所に岩があったのか、大雨の時にでも倒木が流されてきたのか、まったく不思議な風景と思っていたのですが、そうやら岩の上
 に打ち付けてあるようでして、何か橋代わりにでもしていた跡みたいでした。


−権現滝−


−御山川−

鬼米内沢


 権現滝より更に宮古方面に進むと鬼米内沢という場所があります。

 古くから宮古街道の御荷余荷(おによない)と呼ばれた難所でして、大渕から鬼の唸り声のような瀬鳴りの轟きが聞こえてくる奇岩が連続して
 いる、鬼呻吟礁(おにによふね)とも呼ばれていた景勝地でもありました。

 鬼呻吟礁は、無数の小滝が連なっ ている場所でもありまして、沢沿いに林道が整備されていますので気楽に進入することが出来ます。

 現在では、以前のような伝馬人足が行き交う賑わいが失われておりますが、林道周辺に緑豊かな原生林が残っていまして、林道をそのまま
 進み標高を少し上げると「音曲内滝(おんにょうねたき)」も在りまして、たくさんの山野草や昆虫が生息している素晴らしい自然を実感する事
 が出来る場所ともなっております。 



−鬼呻滝−



−鬼呻吟礁−



−鬼呻吟礁−


−鬼呻吟礁−


−音曲内滝−

林滝


 久慈や岩泉などの北方から櫃取湿原に向かうと釜津田という地域を通るのですが、ここには、「林滝」と「岩魚渕滝」という眺めの素晴らしい
 場所があります。

 櫃取湿原に向かうのにちょうど良い休憩場所にもなると思いますので、ぜひ訪れてみて下さい。

 「林滝」への標識が林道脇に設置してありますので、すぐに発見できると思いますし、滝壺が大きくて魚止めにもなっていますので魚が滝を
 越えようと飛び跳ねる姿がよく見られる場所にもなっています。 

 「林滝」から北に移動すると、学びの森という場所に「岩魚渕滝」がありまして、「林滝」ほどの迫力はありませんが、新緑の時期などには、
 とても美しい景色を見せてくれます。


−林滝−


−岩魚渕滝−

鉤掛けの滝


 櫃取湿原から県道171号線を北方に進むと「鉤掛けの滝」がありまして、この滝壺には、河童に囚われた機織姫の伝説が残っています。

 ある村人がこの滝壺の奥に潜ってみると、水中の祠に捕らわれている女性が居まして、河童から開放してもらう約束で織り始めた着物が、あと
 もう少しで織り終わる処だったのですが、 なんとかこのまま此処に残ってもらいたいと心変わりした河童によって織り機の鉤を隠されてしまい、
 困っている事を知ったのでした。

 その後、その話を聞いた村人達によって、なんとか無事に約束の着物が織り終わるようにと、この滝の周辺を通るたびに、近くの小枝に鉤を
 掛けて置くようになったとの事でした。

 現在では、だいぶ侵食されてしまい落差が無くなり小滝となってしまっていますが、見た感じに迫力が無くても、そう言った伝説を聞くと、何とも
 考え深いものがありますよね。



−鉤掛けの滝−

撮影をした時期のフィルムや機材の違いによって、掲載写真の仕上がりに、
かなりの違いが出てくる事もありますので、統一感が無くお見苦しいかとも思われますが、ご了承ください。

この他にも、まだまだ紹介したい場所がたくさんあるのですが、
自分で満足のいく写真を撮ることができたら、順次紹介していきたいと思っています。

「美しき自然」にもどる。