写真講座

初心者を対象とした、とても簡単な風景写真の撮影講座です。

写真講座5:画角の変化

撮影機材とフィルムの説明の次には、レンズの画角についての説明をしたいと思います。

カメラのレンズには、そのシステムに合わせた焦点距離が書かれています。
焦点距離とは、レンズの距離リングを無限遠に合わせた時のレンズ内の主点(中心点)から、ピントが合ったフィルム面までの距離の事で、
35ミリフィルムカメラであれば、50mmを標準として、焦点距離が50mmより短いのを広角と言い、逆に焦点距離が50mmより長いと望遠と
言います。
50mmで撮影された写真の遠近感が、人が目で見て感じる遠近感と同程度なので標準とされています。

28mmや35mmの焦点距離のレンズは、広角レンズになりますし、85mmや135mmの焦点距離のレンズは、望遠レンズになります。
広角レンズになれば、フィルムに写る画角が広くなり、遠近感を強調した作品が撮影できます。
望遠レンズになれば、フィルムに写る画角が狭くなり、圧縮効果を強調した作品が撮影できます。

焦点距離が35mmから135mm程度のズームレンズを所有していれば、連続的に焦点距離が変えられるので、画角の変化が簡単に実感で
きると思います。
下の6枚の写真は、同じ場所から焦点距離を変化させて撮影した物で、画角の変化が、どの様な変化になるのかを視覚的に理解できると思い
ます。



28mm


35mm


50mm


85mm


135mm


200mm

レンズには、17mmや20mmと言った超広角レンズや、400mmや600mmと言った超望遠レンズまで揃っていますが、一般的な風景写真
を撮ろうと思った時には、28mm、50mm、135mmの3本を用意しておけば良いと思います。
ズームレンズであれば、28mmから135mm程度の物を1本用意しておけば良いですね。
花や昆虫などの接写もしたいのであれば100mm程度のマクロレンズを1本追加で持って行ければ良いのですが、ズームレンズの接写機能
でも十分な場合もありますので、撮影目的をハッキリとさせてから選択したいものです。

この画角の変化が、写真での表現方法の始まりです。
被写体に対して自分の表現を具体化する為に、どの画角で撮影するのが最適なのかを理解できれば、その表現方法は、無限に広がる事と
思います。

焦点距離の基準になっている数値は、35ミリフィルムを使った場合の数値が一般的になっています。

35ミリフィルムよりも面積が小さいフィルムを使った場合は、焦点距離の表記も小さな値に変化します。
逆に35ミリフィルムよりも面積が大きいフィルムを使った場合は、焦点距離の表記が大きな値に変化します。

例えば、35ミリフィルムで焦点距離50mmと同じ画角のレンズを選ぼうとすると、APSフィルム(APS-C)では、35mm相当の焦点距離になり
ますし、ブローニフィルム(6×4.5)では、80mm相当の焦点距離になります。

つまり、APSフィルムのカメラで焦点距離が35mmの場合は、広角レンズで無く標準レンズにまりますし、ブローニフィルム(6×4.5)の場合
で焦点距離が80mmの場合は、望遠レンズで無くて標準レンズになります。

− 下記に35ミリフィルム換算表を作りましたので参考にして下さい。 −

35ミリフィルム 2/3型CCD APS-C型CCD 6×4.5判 6×9判 4×5判
28mm 7mm相当 18mm相当 45mm相当 65mm相当 100mm相当
35mm 9mm相当 24mm相当 55mm相当 80mm相当 125mm相当
50mm 13mm相当 35mm相当 80mm相当 115mm相当 175mm相当
85mm 21mm相当 55mm相当 135mm相当 195mm相当 300mm相当
135mm 34mm相当 90mm相当 220mm相当 310mm相当 480mm相当
200mm 50mm相当 130mm相当 320mm相当 460mm相当 700mm相当

画角の変化には、カメラによってファインダーの視野率が違っている事を、理解することも重要になります。
視野率とは、フィルムに実際に写る実画像に対して、ファインダーで見えている視野範囲のことですが、一般的な一眼レフカメラでは、視野率が
95%前後になっています。

つまり撮影をする時に、ファインダーを通して確認した範囲よりも、更にひと回り程度の広い範囲が、実際には、フィルムに写っていることになり
ます。


但し、リバーサルフィルムの場合は、フィルムをマウントする時に画像の外周部
が隠されてしまいますし、ネガフィルムの場合は、プリントする時にプリンターの
フィルムを固定する装置によって、画像の外周部が隠されてプリントされますの
で、殆んど意識しなくてもいいと思います。

稀に、フィルムに写っている全ての範囲がプリントされていないと苦情を言う方
も居ますが、写っている範囲の外周部が切れていても、それが普通のプリント
状態になります。

尚、プロ用のファインダーを搭載した上位機種によっては、視野率が100%の
一眼レフカメラもありますが、一般的な風景を撮影される場合は、プリントする
事が前提になると思いますので、実際に確認した範囲よりも狭い範囲がプリント
されることを覚えておいてください。

あと、プリントした写真を額などに入れて飾る場合も、台紙によって更に外周部
が更に隠されてしまいますので、撮影する時には、かなり外周部に余裕を持た
せる事を、お勧めいたします。


ファインダーで確認した範囲

実際にフィルムに写る範囲

1:自己紹介

2:はじめに 3:撮影機材の選び方 4:フィルムの選び方 6:絞りとシャッター速度
7:構図の決め方 8:撮影用フィルター 9:作品を見てもらおう リンク ゆーしの戯言

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