初心者を対象とした、とても簡単な風景写真の撮影講座です。

フィルムには、そのフィルム感度に合った、適切な光量を正しく与える事が必要で、この事を適正露出といいます。
フィルムに適正露出を与えるためには、絞りとシャッター速度という2つの要素を操作して行います。

絞りとシャッター速度の操作を誤って、与えた光量が多かった場合は、写真が白っぽくなり、露出過度と言います。
逆に、与えた光量が少なかった場合は、写真が暗くなり、露出不足と言います。
この露出の部分は、最近のAFカメラ等では、完全に自動化されていますので、撮影者が意識する事が無いように
設計されています。
その為に、撮影の重要な基礎知識であるにも関わらず、きちんと理解されていない方々が多いのが現状のようです。

一般的なカメラのレンズには、そのレンズの明るさを示す、F値と呼ばれる数値があります。
明るさは、口径比で表す事ができ、レンズの有効口径(実際に使うレンズの最大直径)と焦点距離の比で表します。

F値(口径比)=焦点距離/有効口径で、レンズの表示は、1:焦点距離/有効口径で表されます。
値が小さいほど、レンズを通す光量が多く、明るいレンズという事になります。
F値の系列は、[1][1.4][2][2.8][4][5.6][8][11][16][22][32]が基準になり、基準の数値が増える
程に、光量が半減していきますので、同じ光量を得るのに、時間がより多く必要になります。
F値2.8で撮影した場合に、シャッター速度が1/250秒だったとしますと、同じ光量を得るのに、F値8の場合は、
シャッター速度が1/30秒にもなり、手持ち撮影では、手振れなどの不安も出てくる速度になります。

このF値を調整する部分が、絞りになります。
絞りは、レンズ内に設置されており、数枚の薄い金属板で作られており、光の通る空間を調整する事が出来る様に
なっています。
レンズの性能表などで、絞りF2.8〜22となっていれば、F値が2.8から22の間で光量を調整する事が出来ると
いう事になります。

ここまでの話だけを聞くと、F値の明るい方が良いように感じる方も居ると思いますが、F値には、もう一つ重要な
要素があります。
レンズの性能には、被写界深度という物があります。
これは、ピントが合った時に、そのピントが合っている前後の距離の事を言いますが、F値が明るいと、その被写界
深度が狭くなります。
逆に、F値が暗い場合は、その被写界深度が広くなります。

風景写真などの場合は、被写体の手前から奥まで、きちんとピントの合った写真を撮ろうと思うと、被写体への撮影
距離にもよりますが、ある程度の被写界深度が必要な事から、基本的には、F値8から11辺りを使用する事が多く
なります。


高額なズームレンズで撮影したのに、仕上がった写真のピント
が甘いと騒いでいる方の話を聞いた事があるのですが、撮影時
のレンズの明るさがF値2.8と明るくて、手持ち撮影していたと
いう事から、手振れによるピント不良と、被写界深度が狭い為
に、ピントの合った被写体の前後に、ピントが合ってない部分が
発生しやすくなっているという、絞りに関しての知識不足から
来る、無知な撮影者なのだと呆れる事もありました。

右の写真は、同じ場所から、絞りを変えて撮影したものです。
絞りによって、被写体の背景が、どの様に変化するのかが、
分かると思います。

この絞りという部分は、写真の表現方法として、もっとも基本的
な部分になりますので、しっかりと理解しなければ、自分なりの
表現をする事が出来ないと思いますので、必ず理解するように
して下さいね。


絞りF2.8
被写界深度が狭いので
背景のボケが大きい

絞りF32
被写界深度が広いので
背景のボケが小さい

カメラには、シャッターという部分があります。
シャッターは、適正な光量だけをフィルム面に与える為に、光がフィルム面に当たっている時間を調整します。

基本的に、[1秒][1/2秒][1/4秒][1/8秒][1/15秒][1/30秒][1/60秒][1/125秒][1/250秒]
[1/500秒][1/1000秒][1/2000秒]と表示されています。
シャッターの最高速が、1/8000秒程度が一般的なのですが、1/12000秒まで調整できる物もあります。
但し、この数値は、人間の視覚に分かりやすいように表記されていますので、実際には、この表記とは、微妙に
違っているのですが、あまり気にしなくていいと思います。

但し、この数値が早くなるほど、フィ
ルム面に届く光量が半減して行き
ます。
シャッター速度が、1/30秒の時に、
適正露出に必要なF値が8だったと
すると、同じ条件で、シャッター速度
を1/250に変更すると、適正露出
に必要なF値が2.8になります。

普及タイプのAF一眼レフカメラでも、
30秒から1/4000秒程度の調整
が出来るようになっています。
フィルム面に対する光量調整という
役割もあるのですが、実際には、
被写体に対する動作の表現方法を
する場合に使われる事が多いです。

被写体が動いていた場合に、その
被写体の動いている事を表現する
のか、その被写体の静止した一瞬
を表現するのかで、写真の雰囲気
が違って来ます。



シャッター速度1/80秒
水が静止している



シャッター速度1秒
水が流れている

上の写真は、同じ被写体を、シャッター速度を変えて撮影したものです。
シャッター速度が早い写真は、水の流れが止まって写っていますが、シャッター速度が遅い写真は、水が流れて
写っています。
シャッター速度を変えるだけで、まったく印象の違う作品になりますので、いろいろと試してみて下さい。

被写体への適正露出の量を表す数値に、EV(Exposure Value)と言う物があります。
被写体の適正露出は、被写体の明るさ・フィルム感度・絞りF値・シャッター速度の4つの関係から決まります。
基準は、感度100のフィルムで、絞りF値が1の時に、1秒の露出で適正露出が得られる場合のEVが0になります。
上記の条件から、絞りを1段絞るか、シャッター速度を1段早くするか、フィルム感度を2倍にするかで、EVが1づつ
増えて行きます。
EVは、数値が小さいほど被写体が暗く、数値が大きくなるほど明るくなります。

一般的には、感度100の場合で、晴天時の昼頃の明るさがEV13前後になります。
このEV13を、絞りとシャッター速度で表すと、

F2.8で1/1000秒 ・ F4で1/500秒 ・ F5.6で1/250秒 ・ F8で1/125秒 ・ F11で1/60秒

となり、どの組み合わせでも、同じ露出量EV13になります。
写真を写すには、フィルムに当てる光量が、多すぎても少なすぎてもいけないのですが、実に様々な組み合わせが
ありますので、一定の光量を表す数値として、EVがある事を憶えておいて下さい。
ある程度、本格的に撮影と取り組もうと思った時に、必ず必要になる知識になりますので、参考程度でも構いません
ので、憶えておいて下さいね。

風景写真を撮影されている方の中には、自動AEモード(Pモード)で撮影されている方も居ると思います。
絞りやシャッター速度などの調整をカメラ任せにしていると、作品としては、良くも無く、悪くも無いと言った感じの
作品しか撮れなくなってしまいます。
自分なりの表現を、写真という作品で表現する為には、絞りやシャッター速度の調整をして、自分の作品としての
表現を心がけてもらいたいです。

そこで、独自の調整をする上で、気を付けてもらいたいのですが、カメラの露出は、人肌の反射率に調整されている
という事を憶えておいて下さい。
人物を撮影する場合には、非常に有効なのですが、風景写真の場合には、自動露出が合っていない場合も出て
きますので、注意が必要になります。

人肌の反射率に調整されていますので、黒い被写体を人肌の反射率(灰色)に合わせようと、又は、白い被写体を
人肌の反射率(灰色)に合わせようと、露出が自動で調整されてしまう場合があります。

その為に、最近のAF一眼レフカメラの殆どには、露出補正の機能が搭載されています。
反射率の違いにより、灰色に調整された露出結果を補正する事が出来るようになっています。
実際には、黒い被写体なのに、明るく灰色に調整された場合は、黒くする為に暗く(マイナス補正)調整をします。
逆に、白い被写体なのに、暗く灰色に調整された場合は、白くする為に明るく(プラス補正)調整をします。
調整幅は、その時の光線状態にもよりますので、一概に言えないのですが、0.5〜1.5EV程度の幅で対応でき
ると思います。

この露出補正は、写真が仕上がってみないと、結果が分かりませんので、初心者には、非常に難しい部分になり
ます。

−0.5EV補正

標準

+0.5EV補正

そこで、特に失敗したくない場合
には、露出補正の量を段階的に
数枚撮影する、段階補正撮影を
する事をお勧めします。

露出を少しづつ変えて、マイナス
補正→標準→プラス補正と、
5コマから7コマ程度の撮影をし
ておけば、どれかが自分の思い
描いた露出になっていると思い
ます。
それを繰り返す事によって、撮影
の経験を積み重ねると、自分なり
の調整が出来る様になってくると
思います。


絞りとシャッター速度の組み合わせにより、様々な撮影表現が出来るようになれば、あなたの作品に、表現の幅が
出来ており、素晴らしい作品を次々と生み出している事と思います。
風景写真で、自分なりの表現をする為の、最低限の撮影知識ですので、必ず自分の身にするように頑張って下さい。

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